本格的な春の到来を教えてくれるコブシ(辛夷・こぶし)は、平地や丘陵の森林などに自生するモクレン科モクレン属の落葉高木で、北海道から本州、四国および九州に分布しています。
コブシの由来は、果実もしくはつぼみが人の手の「拳」※の形状に似ていることに由来するそうですが、春の田植えを始めるシーズンにコブシの花は咲くことから、別名を「田打ち桜」や「田植え桜」などとも呼ばれ農作業を始める目安とされていたそうです。
また、コブシにあてられた漢字は「辛夷」※ですが、中国で辛夷と呼ばれるのは、コブシではなく「モクレン」※です。
コブシの同属には、コブシによく似た「タムシバ」※や中国を原産とする「ハクモクレン」※、桃色の花をつける「シデコブシ」※などがあり、なかでもシデゴブシは繁殖地域が限られ、絶滅を危惧されています。
コブシは自生するもの以外にも観賞用として広く用いられており、公園や学校の校庭に植栽されたり、道路の街路樹などに利用されています。
コブシ(辛夷・こぶし)
精油(シネオール・シトラール・オイゲノール・メチルカビコール・サフロール)など (この続き…)
ホオノキ(朴の木・ほおのき)は、山地や丘陵の森林や公園などに見られるモクレン科モクレン属の落葉高木で、北海道から本州、四国および九州に分布しています。
朴葉味噌※などで知られる、ホオノキの葉は古くから餅や飯などを包み食用とされており、ホウノキのホウは「包」※に由来されています。
ホオノキの材質は、柔らかく均質なことから加工に最適とされ、彫刻の板や下駄、家具や建具、まな板やマッチの軸など多くのものに利用されているほか、昔は炭※としも用いられたそうです。
また、殺菌作用をもつホオノキの葉は、食物を包むのに有効なことから、前述の朴葉味噌のほかにも「朴葉寿司」や「朴葉餅」などに用いられています。
大きい葉を持ち、高さも20メートル以上に達するホオノキですが、芳香を漂わせる白い花の大きさも国内で自生する植物の中では、最大クラスのサイズだそうです。
ホオノキ(朴の木・ほおのき)の成分
アルカロイド(マグノクラリン)・マグノロール・精油成分など (この続き…)
セキショウ(石菖・せきしょう)は、山野の川辺など清流沿いに見られるサトイモ科ショウブ属の常緑多年草植物で、本州や四国および九州に自生するほか、国外では中国に分布しています。
セキショウは、端午の節句に用いられる同科同属の「ショウブ」 ((菖蒲(サトイモ科ショウブ属)))とよく似た容姿をもってりおり、また、名前についても「岩にからみ付いて繁殖する菖蒲」の意から「石菖」※と名付けられたとされています。
班入りの品種 ※など、江戸時代からさまざまな園芸品種がつくられ、観賞用として親しまれるセキショウは、鉢植えや盆栽以外にもグランドカバー※として用いられています。
セキショウ(石菖・せきしょう)
精油(β-アサロン・カリオフィレン・セスキテルペン)など (この続き…)
特徴的な容姿をもつカラスビシャク(烏柄杓・からすびしゃく)は、北海道~沖縄まで、日本各地の草地や畑などに自生するサトイモ科ハンゲ属の多年草で、国外では朝鮮半島や中国に分布しています。
カラスビシャクは、種子以外にも「むかご」と呼ばれる繁殖器官があり、その旺盛な繁殖力により駆除の厄介な雑草をして知られています。
変わった形をした葉が、地面から直接、垂直に伸びるスタイルが特徴的なカラスビシャクですが、よく似た植物としては、同科の「マムシグサ」※や「ウラシマソウ」※などがあります。
カラスビシャクの名の由来は、仏炎苞が柄杓※の形状に似ていることから「烏柄杓」と名付けられたとされています。
また農家などでは、採取したカラスビシャクの球茎を漢方の業者などに販売して収入を得ていたことから、別名を「ヘソクリ」とも呼ばれていました。
カラスビシャクは、成分にシュウ酸カルシウムを多く含むため、採取したものを生で食用にすることはできません。
カラスビシャク(烏柄杓・からすびしゃく)
シュウ酸カルシウム・エフェドリン・コリン・ベータシトステロールなど (この続き…)
うす紅色や白色の美し花が印象的な蓮(ハス・はす)は、沼や池、水田などに見られるスイレン科蓮属の水生多年草で、熱帯アジアに広く分布しており、国内では、本州や四国および九州に分布しています。
仏教などの宗教と関わりの深い蓮ですが原産はインドとされており、インドから中国を経て日本に渡来したのは奈良時代とされています。
蓮の花宅は、形状が蜂の巣に似ていることから、古くは別名を「蜂巣」※とよばれており、そのハチスのチが抜けて「蓮」という名になったと由来されています。
美しい花をもつ蓮は、観賞を楽しむために小型の園芸品種※も多数存在するほか、公園や庭園の池などにも栽培されています。
蓮の地下にもぐる肥大した根茎は、野菜のレンコン※として知られていますが、外国では若葉や種子なども、お茶やお菓子などの食品に加工されています。
蓮(ハス・はす)
アルカロイド(ネフェリン・ノルヌシフェリン・ヌシフェリン)など (この続き…)
コウホネ(河骨・こうほね)は、浅い池や小川、沼地などに自生する、スイレン科コウホネ属の水生多年草で、北海道から九州の各地および朝鮮半島や台湾に分布しています。
白い色をしたコウホネの根茎は、人の骨に似ていることから「河骨」と名付けられたとされていますが、国内でコウホネの名を持つ同属は、「ヒメコウホネ」、「オグラコウホネ」、「ネムロコウホネ」などがあります。
黄色いきれいな花を咲かせるコウホネは、観賞用として庭園などで栽培されるほか、比較的に育て方も容易なことから、小規模なアクアリウム※での観賞などにも用いられています。
コウホネなどの水生植物の自生する地域は、湖岸の開発や環境の悪化、外来種の脅威などにより、年々狭められており、コウホネの同属にも、「ヒメコウホネ」や「オグラコウホネ」など、環境省のレッドデータブックに絶滅危惧類として指定されているものがあります。
コウホネ(河骨・こうほね)
アルカロイド(ヌファリジン・ヌファラミン・デオキシヌファリジン)・脂肪酸など (この続き…)
変わった生態をもつネナシカズラ(根無葛・ねなじかずら)は、日本各地の山地や草地、荒地などに自生するヒルガオ科ネナシカズラ属のつる性一年草で、朝鮮半島や中国にも分布しています。
寄生植物として知られるネナシカズラは、周囲の植物にからみつき、寄生根によって宿主となる他の植物の水分や栄養分を吸収しながら繁殖を続ける植物で、宿主より養分が供給されるようになると、「根無葛」の名称どうりに自らの根は枯らしてしまいます。
ネナシカズラ同様の寄生植物には、同属の「アメリカネナシカズラ」※や「スナズル」※などがありますが、農作物などに被害を及ぼすこともあり、アメリカナシカズラなど有害植物と指定されているものもあります。
また逆に、繁殖地域のせまい種については絶滅を危惧されているものもあります。
ネナシカズラ(根無葛・ねなじかずら)の成分
カロチン・タラキサンチン・ルティンなど (この続き…)
草地や道ばたなどに見かけるヒルガオ(昼顔・ひるがお)※は、北海道や本州、四国および九州に自生する、ヒルガオ科ヒルガオ属のつる性多年草で、国外では中国や朝鮮半島などに分布しています。
「昼顔」という名前は、昼間に花を咲かすことに由来しますが、ヒルガオの名をもつ種はその他にも「コヒルガオ」※、「セイヨウヒルガオ」※、「ハマヒルガオ」※などがあります。
万葉の時代には美しい女性の例えに使用されていたヒルガオですが、現代では、繁殖力が非常に強い駆除の厄介な雑草として扱われており、同科の「アサガオ」※のような観賞用としての栽培はほとんどされていません。
ヒルガオの若芽は、山菜として食用も可能で、おひたしや和え物、油炒めなどに調理します。
ヒルガオ(昼顔・ひるがお)の成分
フラボノイド配糖体(ケンフェロール・グルコシド)など (この続き…)
カンアオイ(寒葵・かんあおい)は、山地の雑木林など薄暗い場所に自生するウマノスズクサ科カンアオイ属の多年草で、関東地方や中部地方などに分布しています。
カンアオイは、背丈が低くカタツムリ※に花粉の媒介を依存するため、広範囲に繁殖地を広げることは困難なことから、地域による分化が多く、同属は多数にわたります。
「寒葵」と呼ばれる由来は、「フタバアオイ」※に似た葉が、冬でも枯れずについているからとされており、またその葉は、ギフチョウが好む食草でもあります。
江戸時代には、観賞用として班入りの品種などが多数栽培され、育て方の手引きなども出回り、人気を得ていたそうですが、現代でも一部の人々には珍重されており、生産や販売が行なわれています。
元来、繁殖地域の狭いカンアオイですが、土地開発や商用目的の違法採取などにより、絶滅を危惧されている同属は多数存在します。
カンアオイ(寒葵・かんあおい)の成分
メチルオイゲノール・サフロール・リモネン・リグナンなど (この続き…)
ウスバサイシン(薄葉細辛・うすばさいしん)は、本州や四国および九州の山地にある山林の地面付近など、日陰を好んで生育環境とするウマノスズクサ科ウスバサイシン属の多年草で、国外では朝鮮半島や中国などに分布しています。
「薄葉細辛」という名は、辛くて細い根をもつことと、類似種のカンアオイ※などと比べ葉が薄いことに由来するそうですが、その薄い葉は、ヒメギフチョウが、好む食草になっています。
ウスバサイシン(薄葉細辛・うすばさいしん)の成分
メチルオイゲノール・サフロール・リモネン・リグナンなど (この続き…)